SERVICE SCIENTIST’S JOURNAL
チャンスロス
プロセスを
探す
サービスモデルの組み直しがうまくできないときには、「もったいないプロセス」を探します。どのようにピンチをチャンスに変えるのでしょう。
勝負プロセスを見つけるヒント
サービスモデルの組み直しがうまくできないと相談をいただくことがあります。そんなときには、「勝負プロセス」の前に「チャンスロスプロセス」に着目してみます。つまり、「もったいないプロセス」を探すのです。
「提案営業の勝負プロセスは提案ではない」に至った経緯
「勝負プロセスを定義する」の中で取り上げた提案営業の事例。その経緯はまさに、チャンスロスプロセスに着想のヒントがありました。
成績が振るわない営業部門がありました。そこでは営業メンバーが、「提案営業の勝負プロセスは提案活動だ」と思い込んで、一生懸命に提案の準備をしています。しかし顧客は、提案の段階では腹積もりが既に決まっているので、提案でいくら頑張っても仕事は取れません。ここの営業は、どこでチャンスロスしたのでしょうか。それは、顧客が腹積もりを決める相談段階でした。
チャンスロスで負のスパイラルに陥る
提案の打率が低い営業は、提案の数を追いかけてしまいます。すると、忙しさに拍車がかかり、顧客の「相談」に乗る余裕が失われていきます。自ずとチャンスロスが重なります。さらに悪いことに、営業マネジャーが勝負プロセスを心得ていないと、「3回の顧客訪問で受注しなさい」「提案させてもらえるか分からない顧客に手間をかけるな」と指導されて、いっそう「相談」の段階でチャンスがつかめなくなります。こうして、営業組織は負のスパイラルに陥ってしまうというわけです。
チャンスロスから本当の勝負プロセスが浮かび上がる
このように、チャンスロスプロセスを探すことで、勝負すべきプロセスが明らかになります。この事例の場合、提案営業の勝負プロセスは「提案」ではなく「相談」と心得て、提案依頼の段階で勝負が決まっているサービスプロセスに組み直す必要があるのです。これを理解して相談プロセスに力点を置いている営業と、提案段階になって頑張っている営業とで、成果に大差が付くことは納得できます。
チャンスロスプロセスを探してみる
チャンスロスを探すうえで大切なのは、「顧客の事前期待に応えるチャンス」あるいは「顧客に価値ある事前期待を持ってもらうチャンス」をロスしたポイントを探すことです。決して「売り付け」や「囲い込み」のチャンスではありません。
チャンスロスについて、顧客を主語に議論できるのか、提供者都合の押し付け議論になってしまうのか。その基本スタンス自体にも、チャンスロスは潜んでいます。