SERVICE SCIENTIST’S JOURNAL
優れた
サービスの
定義
日本サービス大賞では、サービスを紙飛行機に見立てて優れたサービスを表現しています。紙飛行機を遠くに飛ばすよりも重要なこととは何でしょう。
日本サービス大賞における「優れたサービス」の定義
そもそも、「優れたサービス」とは何でしょうか。
日本サービス大賞では、サービスの定義を「提供者と受け手の間における価値創造(共創)により、人やモノが提供する経験価値、およびそれを生み出し提供するプロセス」としています。ここでいう経験価値とは、そのサービスの金銭的な価値だけではなく、サービスの利用経験を通じて得られる心理的・感覚的な価値のことです。
そのうえで「優れたサービス」を、次のように定義しています。
「受け手の期待を超える経験価値を提供するサービス」
“優れている”という評価は、サービスの受け手の「期待」をどれだけ超えたかという相対的な基準で決まるというものです。
つまりは事前期待
日本サービス大賞で言うところの「優れたサービス」の定義は、これまで紹介してきた「サービスの定義」や「事前期待」の考え方と合致しています。
つまりは、
・サービスは顧客と一緒につくるもの(共創)である
・サービスとは顧客の事前期待に合ったもののことである
・事前期待を大きく超えるサービス=優れたサービス
というわけです。
紙飛行機を遠くに飛ばすよりも大事なこと
日本サービス大賞では、サービスを紙飛行機に見立てて、優れたサービスを表現しています。受け手の期待を大きく超えるところまで飛んだ紙飛行機は「優れている」。期待までか、その手前までしか飛ばなかった紙飛行機は、「普通のサービス」かそれ以下というわけです。
この例えると「どうやったら紙飛行機を遠くまで飛ばせるだろうか」と、考えてしまいます。実際に多くの企業ではサービス向上のために、「具体的に何をやったらいいだろうか」と具体策を検討してます。
しかし、「どうやって紙飛行機を遠くまで飛ばすか(何をやるか)」以上に大切なことがあります。
「どこに向かって飛ばすか」です。
言い換えると「私たちはどんな事前期待に向かってサービスを進化させるのか」を明らかにするのです。
顧客の事前期待に向かって紙飛行機を飛ばせなければ、いくら遠くに飛ぶ紙飛行機であっても、優れたサービスを実現することはできません。紙飛行機の目標地点として「事前期待の的」をしっかりと見定めることが大切だと言えます。
ただし、事前期待と一言で言ってもさまざまです。だからこそ、「事前期待」とは一体どんなものなのかをシンプルな理論で理解しておく必要がありそうです。